私たちが、床を研ぐ理由。

冬の朝、素足が感じる冷たさ。
かつて森だった頃の記憶。
今、床は窒息している。
プラスチックの鎧を脱ぎ捨て、
木はもう一度、呼吸を始める。
それは、掃除ではなく、再生である。
Definition

掃除ではない。
外科手術である。

多くの業者は、床研磨を「汚れを削り落として綺麗にするクリーニング」だと捉えています。私たちの定義は違います。削るのではなく、研ぐ。落とすのは、傷んだ最小限の層だけです。古い塗膜があれば外し、なければ木肌だけを整える。同じ「床研磨」でも、どれだけ落とさずに済ませたかで仕事の質が決まります。

製材所である私たちは知っています。表面の一皮、1ミリに満たない層を研ぎ落とせば、その下には、数十年もの間、誰にも触れられずに守られてきた「無垢の木肌」が眠っていることを。その肌を空気に触れさせ、光を当てた瞬間、部屋の空気すら変わることを。

そして、削った厚みは戻ってきません。だから私たちは、床の厚みを消耗品ではなく、お客さまの資産と考えています。一度に多く削れば早くきれいになりますが、その分だけ次の機会が減る。必要な最小限だけを研ぐのは、次にもう一度研げる状態でお返しするためです。

Our Code

「始末」の倫理

私たちが守る、3つの約束。

01

削り粉の始末

古い塗膜を削る際に出る粉には、化学物質が含まれています。私たちはこれを「木粉」とは呼びません。研磨機に集塵機をつなぎ、削りながらその場で回収します。決して庭や土には還しません。回収した粉は、費用を払って処理業者に引き渡しています。土に埋め戻すのではなく、この形で始末をつけます。

まだ、できていないこと
いまは、費用を払って処分してもらっています。いつかこの粉を、捨てて終わりにせず、固形燃料(ブリケット)に変えて熱として使い切りたいと考えています。ただし、そのためには設備も手続きも要ります。整わないうちから「循環しています」と書くのは、始末とは呼べません。できた日に、この欄を書き替えます。
02

足りない板は、挽く

床の一部が欠けていたり、抜けていたりすることがあります。既製品では寸法も樹種も合わないことが多く、そこだけ違う板が入ると、かえって目立ちます。私たちは製材所ですから、合う材が手元にあれば挽いて作れます。細かい欠けや隙間には、その床に合わせて木の粉を混ぜたパテを作ることもあります。外から材を買ってくる前に、まず自分の手で作れないかを考えます。

03

次も研げる仕上げ

住まいの床には、膜で覆うのでなく木に浸透して守る、植物油を主成分とする自然塗料を標準にしています。厚い膜がなければ、次に手を入れるとき削り落とすものがありません。研ぐ量が減り、床の厚みが長く残ります。膜で塞がないぶん、木が室内の湿気を吸ったり放したりする働きも残ります。土足の店舗など塗膜の強さが要る床には、そうお伝えしたうえで、耐久性の高い水性ウレタン塗料を使い分けます。

Result:
床は「劣化」する工業製品から、「熟成(Vintage)」する資産へと変わります。

Vintage, not Old.

田中製材所が再生した床は、完成した瞬間が「0歳」の誕生日。
そこから家族と共に歳を重ね、傷つき、飴色に深まり、
ヴィンテージへと育っていきます。

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